「科学的介護情報システム(LIFE)」について、内容を以下にまとめました。
科学的介護とは
介護のあり方として、個々の利用者への生活支援だけでなく、利用者のアウトカム ( 生活機能など ) を向上させることも期待されつつあります。このような背景の中で、介護サービスのアウトカム等について、科学的手法に基づく分析を進め、エビデンスを蓄積し活用していくことの重要性が議論されてきました。医療分野では 1990 年代以降、「エビデンスに基づく医療」が取り入れられており、介護分野においても、以下の取り組みの実践を通して、エビデンスに基づいた自立支援・重度化防止等を進めていくことが期待されています。
- ① エビデンスに基づいた介護の実践
- ② 科学的に妥当性のある指標等の現場からの収集・蓄積および分析
- ③ 分析の成果を現場にフィードバックすることで、更なる科学的介護を推進
出典：科学的介護について（厚生労働省）
科学的介護情報システム(LIFE)とは
エビデンスに基づいた自立支援・重度化防止等を進めるためには、科学的に妥当性のある指標等を収集・蓄積及び分析し、分析の結果を現場にフィードバックをする仕組みが必要です。この実現に向けて、厚生労働省は、2016年度から通所・訪問リハビリテーションの計画書等の情報を収集しフィードバックを行う「通所・訪問リハビリテーションデータ収集システム(VISIT)」を、2020年度から「高齢者の状態やケアの内容等データ収集システム(CHASE)」を運用してきました。2021 年度よりこれらを一体運用とし、「科学的介護情報システム(LIFE)」と改名しました。
科学的介護情報システム(LIFE)による科学的介護の推進について
LIFEでは、計画書の作成等が要件となっている加算において実施されているPDCAサイクルについて、データに基づくさらなるPDCAサイクルを推進し、ケアの質向上につなげることを目指します。利用者の状態やケアの実績等のデータを、LIFEで収集・蓄積し、蓄積したデータに基づくフィードバック情報を計画書等の改善に活かすことで、PDCAサイクルの好循環を実現し、質の高いケアにつなげていくことが期待されます。
出典：第185回社会保障審議会介護給付費分科会資料「令和３年度介護報酬改定に向けて （自立支援・重度化防止の推進）
2021年度介護報酬改定において、科学的介護推進体制加算を始めとし、LIFEの活用等が要件に含まれる加算が設けられました。今後、科学的介護の取り組みがこれまで以上に重要になると思われます。
薬剤関連では、かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ)･(Ⅲ)・薬剤管理指導について、LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用が要件となりました。
LIFEの活用等が要件として含まれる加算一覧(施設･サービス別)
| 科学的介護推進体制加算(Ⅰ)･(Ⅱ) | 個別機能訓練加算(Ⅱ) | ADL維持等加算(Ⅰ)･(Ⅱ) | リハビリテーションマネジメント計画書情報加算 | 理学療法､作業療法､言語聴覚療法 に係る加算 | 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)･(Ⅱ) | 褥瘡対策指導管理(Ⅱ) | 排せつ支援加算(Ⅰ)･(Ⅱ)･(Ⅲ) | 自立支援促進加算 | かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ)･(Ⅲ) | 薬剤管理指導 | 栄養マネジメント強化加算 | 口腔衛生管理加算(Ⅱ) | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 介護老人福祉施設 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
| 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
| 介護老人保健施設 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
| 介護医療院 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
| 科学的介護推進体制加算 | 個別機能訓練加算(Ⅱ) | ADL維持等加算(Ⅰ)･(Ⅱ) | リハビリテーションマネジメント加算(A)ロ･(B)ロ | 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)･(Ⅱ) | 排せつ支援加算(Ⅰ)･(Ⅱ)･(Ⅲ) | 栄養アセスメント加算 | 口腔機能向上加算(Ⅱ) | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 通所介護 | ● | ● | ● | ● | ● | |||
| 地域密着型通所介護 | ● | ● | ● | ● | ● | |||
| 認知症対応型通所介護(予防含む) | ● | ● | ● (予防を除く) |
● | ● | |||
| 特定施設入居者生活介護(予防含む) | ● | ● | ● (予防を除く) |
|||||
| 地域密着型特定施設入居者生活介護 | ● | ● | ● | |||||
| 認知症対応型共同生活介護(予防含む) | ● | |||||||
| 小規模多機能型居宅介護(予防含む) | ● | |||||||
| 看護小規模多機能型居宅介護 | ● | ● | ● | ● | ● | |||
| 通所リハビリテーション(予防含む) | ● | ● (予防を除く) |
● | ● | ||||
| 訪問リハビリテーション | ● |
LIFEへのデータ入力項目例
薬剤変更等に係る情報提供書
（かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ)･(Ⅲ)・薬剤管理指導が対応する様式）
薬剤変更等に係る情報提供書の項目のうち、青色実線枠内がLIFEへのデータ提出を必須とする項目、青色点線枠内は追加処方があった場合のみ提出
出典：令和３年度介護報酬改定について 介護報酬改定に関する通知等：別紙様式9（薬剤変更等に係る情報提供書）